良心

わたしが、月2回くらい行っている、バイトの現場の近くに、踏切のある駅がある。


その踏切で、たまに、(1〜2年に一度くらい) 人身事故が起きる。


人身事故が起きた翌朝、

踏切のそばに、付近の人が、お花や、おまんじゅうや、ジュースをお供えするらしいのだけど、

一時間後くらいには、食べ物と飲み物は全部盗まれているそうだ。


ホームレスの人が、盗んでいるらしい。


その話をしてきた、おばさんは、わたしに、「お供え物まで盗むなんて、嫌ね」といってきた。


わたしは、「はぁ、まぁ、そうですねえ」とか言ったけど、

心の中では、ホームレスのことは、誰も責められないなと思っていた。


たしかに、お供え物を盗むのは良くないけど、

もし、自分がホームレスだったら、同じことをしてると思うから。


わたしは、お供え物を盗む、ホームレスのことは、卑しいとは全く思わない。


本当に、心が卑しい人というのは、

食べるものに困って、お供え物を盗むホームレスではないと思う。


本当に、心が卑しいのは、

人の心を失った人間だと思う。

人の心っていうのは、良心のことです。


昨日、人の心を、ひとかけらも持ってない人に遭遇してしまった。


結構、衝撃的だった。

どんなに、いやな奴でも、人の心は、ちょっとは持っているけど

その人は、本当にひとかけらも持ってないように私は見えた。


その日の帰り道、わたしは、わたしに生まれて本当によかったなと、心の底からおもった。


もし、わたしが、人の心を持ってない人間に生まれていたら?

考えると、寒気がする。




最近読んだアウシュビッツの本には、

「本当の善人は、誰一人として生還できなかった」

と書いてあった。


わたしは、アウシュビッツに入れられたら生還できないと思う。


けど、人の心を持ってないあいつなら・・アウシュビッツに入れられたとしても、生還できるだろうと思う。